170回、好きだと言ったら。



一斉に走り出した飛澤さんや仲間に、あたしは唖然とするしかなかった。


人気のない場所で、彼らは楽しそうに喧嘩をする。
この場所に立つ人達は皆、喧嘩をするためだけに集まっているのだ。


それが―、飛澤さんの生きる世界――…。


まるで踊るように喧嘩をしていた彼らに、あたしは自然と後退していた。
あんな光景を見て、カッコイイと思ってしまったのだ。


嫌いだと何度も思ったはずなのに。
飛澤さんなんて脅すような人で、いいイメージなど一つもなかった。そもそもいいところが存在するなんて思いもしなかったのに。



お兄ちゃんや小鳥遊さんが彼に着いて行った意味が―、少しだけ分かるほど飛澤さんの力は圧倒的でカッコよかった。

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