170回、好きだと言ったら。
喧嘩を終えた飛澤さんは体中に傷をつけながら帰ってきた。
立ち尽くしたままだったあたしを見て、飛澤さんは何故か口角を上げる。
ゆっくりとした動作であたしの顎を掴むと、そのまま顔を近づけようとした。
「何故拒む? 俺の女だろう」
「……そういう行為は受け付けていません」
「我儘な女だな。帰る、家まで送るから乗れ」
「カフェのところで結構です」
飛澤さんがあたしの家に来たかは謎だが、恐らくお兄ちゃんが家に招いたのだろう。
眉間にシワを寄せながら言えば、飛澤さんはくつりと笑いながらあたしを腕を掴んだ。
「本当に面白いな、お前。泊っていくか?」
「飛澤さんのことそこまで気を許していないので勘違いしないで下さい。カフェまでで結構です」