170回、好きだと言ったら。
冷たくあしらえば飛澤さんは笑いながらあたしにバイクに乗るよう指示をした。また顎を使いながら。
あたしがバイクに跨ったのを確認すると、バイクのエンジンをつけた。
高校生たちは大丈夫なのだろうかと思ったが飛澤さんに言えば機嫌を損ねる可能性があったため口を閉ざした。
服を掴んだあたしに満足そうに頷いた飛澤さんは、そのままバイクを走らせる。
数ヶ月前まであたしの前を歩くのはテルくん一人だけだった。
今では潤さんや小鳥遊さん、そして飛澤さんの背中を見て全然違うと思った。
そして何よりも確信出来たのは、やっぱりあたしにとって一番安心する背中はテルくんだけだと。そう思ったら無性に会いたくなってしまって、涙を流さないように奥歯を噛み締めた。