170回、好きだと言ったら。
夕方、ホテルへ向かう途中彼女に訊ねれば、どこか寂しげな表情を浮かべた。
聞いてはいけないことだったかとあたしが話題を変えようとした時、東さんが俯きながら口を開いた。
「最近さ、芽衣が彼氏作っては別れての繰り返しで…何か見てて嫌だったんだ。
芽衣とは小学校からの友達だけど、恋愛においてはいっつも適当で…うちはいつも影で誰かをバカにしてるようなやつだった」
でもさ、と東さんはまた言葉を続けて顔を上げる。
「…何かアンタ達を見て羨ましいとか思っちゃったの。それだけ、別に芽衣と喧嘩したとかじゃないから!」
「そ、そうだったんだ。
でも佐倉さんって凄いね、恋愛上手って感じで…」
「沖宮さん…! 自分を苛めたような人にそんな言葉言わないの…!!」
「小野瀬さんってさお母さんみたい。沖宮さんの」
「ええっ…!! わたし、沖宮さんのことお姉ちゃんだと思ってた…!」