170回、好きだと言ったら。



積極的なことを言ってしまったあたしは、後々になって後悔した。


にやりと口角を上げたテルくんが「何で?」と意地悪なことを聞く。

あたしの気持ちなんて、とうの昔から知っているはずなのに。ずるいよ、テルくん。

今度はテルくんの首に腕を回して「気分」と短く答えれば、満足したようにテルくんは笑っていた。



それから降り注いだキスの雨に、あたしはただただ現実を忘れるように夢中になった―。




「……え、日帰りで来たの? 沖縄に?」

「…だからもう帰る。実衣、バカなマネだけはすんなよ。したら後でお仕置き、忘れんな」

「……ん」

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