170回、好きだと言ったら。
○テルくん守ることが出来ましたか
それからまた時間だけが流れて、テルくんとの約束の日が一ヵ月を切ったある日のこと。
その日は《はちみつば》スーパーに寄って、いつもの通っているからかおばさんにリンゴを頂いた。
上機嫌で家を目指している途中―、目の前にやってきた人物に自然と足が止まる。
「久しぶりやなあ、実衣ちゃん」
「……潤、さん…」
「ほんまはもっと早く連絡したり会いたかったんやけど、どうも鞠が近くにおるみたいでな」
「あたし小鳥遊さんと会ってなんて…」
「実衣ちゃんは照道の言う通り、ほんまに嘘が下手やな。苗字まで知ってるんかいな」
言い返す言葉が見つからず、地面へ視線を落とした。
いつの間にか煙草を吸いだした潤さんは煙を吐いてあたしに問いかけた。
「…なあ実衣ちゃん、飛澤の男になったっちゅーのはほんまか?」
「……!!」
「その顔やと…沖宮と同じように脅されたんやな?」
「そ、れは…」