170回、好きだと言ったら。



ぼろぼろと零れ落ちた涙を見た潤さんは、ぐしゃりと顔を歪ませた。


「…早く気づいてやれんでほんま謝り切れんけど、一番問題なんは実衣ちゃんの兄貴やわ…。
絶対怒っとるで、地獄で何言うてるか」



ぶつぶつと考え出した潤さんは「しゃーない」とあたしへ視線を向けた。


「……その苦しみも今日で解放したる。やから今実衣ちゃんを捜してたんよ。
今夜だけ飛澤に着いてって、俺が隙見て助けるから」

「あたし…テルくんを裏切ってしまったのに…本当は潤さんとも顔を合わせる資格なんて…」

「そんなん照道やってそうや。
アンタに隠し事なんて沢山してもうてる。お互い責めるんはなしや」


やっぱりテルくん、何かあったんだ…。
心配そうにするあたしに潤さんは安心させるように頭を撫でるだけだった。


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