170回、好きだと言ったら。
今までで一番夜が待ち遠しい日だった。
ようやく飛澤さんから解放されるのだ。
…潤さんが言うには小鳥遊さんに連絡を入れてあるらしく、彼も連れて来るとのことだ。
だからあたしの出る幕ではないと言われて、それに対して頷くだけだった。
6時を過ぎるのを確認して家の鍵を閉めると、そのまま飛澤さんのカフェを目指した―。
「女、知っているかは分からんが悪鬼実野族とケリをつける。お前も来い」
「……はい」
「やけに素直だな。また誰かに何かを言われたのか?」
どうして飛澤さんはあたしのことを見透かしているのだろうか。
それが堪らず怖くて思わず視線を逸らした。