170回、好きだと言ったら。
遅れて聞こえたバイクのエンジン音に潤さんが反応した。
「やっぱ携帯番号変えとらんかったんやな。
久しぶりに会ったけど、そのメガネは自分を隠すモンか?」
「……そういうわけじゃないですよ。
本当に僕は目が悪いだけです」
「そら初耳やなあ? 沖宮が死んでからかけてるんとちゃう?」
「コラ! 潤、言いすぎよ!」
「…俺はな桃妃子、沖宮が死んだからってわざわざ飛澤ンとこに入った鞠に説教しとるんや。
桃妃子の気持ちも知らんと、勝手な行動ばっかして、俺達は随分と遠回りしてもうたみたいや」
潤さんがぐっと拳を握り締めた後、あたしが息をする間もなく、彼の拳が小鳥遊さんの右頬に直撃したのを見た。
「…何でっ、どいつもこいつも沖宮を引きずって歩けとらんのや!?
そんなんやから沖宮は苦労ばっかしとって…!!」
「ちょっと潤! いきなり殴るなんて…!」