170回、好きだと言ったら。



鋭い視線を向けた飛澤さんに怯むことなく小鳥遊さんは真剣な眼差しを向けた。


「僕は悪鬼実野族に入ります。
春威を救い出したかった潤達のためにも、僕も前に進みたいんです。だから、ここにいるのはもう悪鬼実野族の一員である小鳥遊 鞠です」


あたしの腕を強く握り締めた飛澤さん。
それと同時に震えも伝わってきた。


「それだけだな、話は。俺の仲間もようやく来たようだし―、ここで喧嘩の火蓋を切らせてもらう」



急に腕を引っ張られて飛澤さんの後ろへと移動させられた。


目の前に見えたのは以前と同じ背中。


そのはずなのに―、とても寂しげに見えたのは気のせいだろうか…?


< 236 / 284 >

この作品をシェア

pagetop