170回、好きだと言ったら。



飛澤さんの仲間が集まったところで、バイクから降りた彼らは拳を握り締めて、自由に喧嘩をし始めた。



いつの間にか隣へやってきた桃妃子さんに「こっちよ」と案内されながら、木陰へと移動してあたしは背後を振り返った。


丁度飛澤さんと小鳥遊さんが喧嘩をし始めているところで、とても舞っているとは言いがたい喧嘩だった。



「…まさか鞠と知り合いだったなんて驚いたわよ。でも…最後に見た鞠はもっと暗い表情をしていたの。貴方のおかげね」

「そ、そんな…! あたしは本当に何も…」

「だけどあんまり他の男の人を見ていたら、照道を奪っちゃうわよ?」


ウインクつきで言った桃妃子さんは、くしゃりとあたしの頭を撫でた。


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