170回、好きだと言ったら。
そんな時だった。
飛澤さんが珍しくふらついているのを見て、どこか嫌な予感がした。
彼の喧嘩を見て思ったのだが、飛澤さんは圧倒的な力がある分隙が多い。
不意を突かれて小鳥遊さんに殴り飛ばされた飛澤さんに小さく悲鳴を上げると、隣で桃妃子さんがぽつりと呟いた。
「…押されているわ。あの男が、鞠に……」
確かに桃妃子さんの言う通り、小鳥遊さんが押しているように見える。あんなにも細い身体をしているのに、飛澤さん相手によく倒れないで立ち向かえるなんて。
「…どうしたんですか、飛澤さん。僕はまだ倒れていませんよっ…!」
「はぁ…、はぁ、どうやら俺も…弱くなったようだ。数日前に襲撃に遭ってからか動きが鈍くなってしまう…っ」
その言葉にあたしは困惑した。だって飛澤さんはそんなこと一度も言っていなかったから…。