170回、好きだと言ったら。
そのままバイクを走らせて気がつけば、実衣の母親と兄貴が眠る墓場に着いていた。
実衣は一度もここに来たことがない。俺がこの場所を知ったのも、実衣の親戚の人に教わったからだ。
きちんと掃除はされているから、今も親戚の人達が綺麗にしてくれているのだろう。
…実衣はまだ現実を受け止めれてねぇんだ。
近場に売ってあった花を墓場前に置くと、俺は手を合わせて目を閉じた。
……どうか、俺がいない間に実衣が危険に遭わないよう誰かが守ってくれるように。
何かあったら実衣の兄貴が化けてでも守ってろよ、と俺は伝えて立ち上がる。
さて―、実衣を泣かせちまったことだし、今夜はどろどろに甘やかしてあげるのが一番だろう。