170回、好きだと言ったら。
鞠が泣いてるところなんて潤や桃妃子はあまり見たことがない。
驚きを隠せない様子だったが、小野瀬は知らない人だったため、気まずそうに視線を逸らすだけだ。
「……すみません、僕が巻き込んだから」
「鞠、アンタやっぱりメガネのレンズ入れてへんやろ」
「…潤、止しなさい。鞠だって変わりたかったからメガネをかけたのよ」
「…それも嘘をついてすみませんでした。
メガネをかけたら変われたような気分でいましたが、それは僕の思い違いで」
俯いた鞠に潤がため息を零した。
「アンタのネガティブはもう慣れたわ。
ほんで実衣ちゃんが起きたら何言うん?」
「…彼女を支えられるように、傍にいますって」
「は?」
「え、何かおかしいこと言いましたか?」