170回、好きだと言ったら。
重たい瞼を開くと、見知らぬ天井が映った。
遠くのほうで誰かがあたしを呼んでいる気がする。
そちらへ視線をずらせば、一番初めに映ったのは小野瀬さん。その隣に潤さんや桃妃子さん、そして小鳥遊さんもいた。
身体を動かそうにも頭が痛くて、あたしは目を閉じたり開いたりするのを繰り返した。
「よかった…! 目覚めたんだね、沖宮さんっ…!!
5日も眠っていたから心配で…!」
「…5日、も」
渇ききった声で話せば、桃妃子さんがあたしの手を握り締めた。
「どこか痛いところはあるかしら?
今医者を呼ぶから待っていて頂戴」
「…は、い」
次にあたしの視界に映ったのは小鳥遊さんだった。相変わらず真っ黒なTシャツとズボンを身にまとった彼は、あたしを見て涙をぽろりと零した。