170回、好きだと言ったら。
そこから現れたテルくんは何故かあたしと同じ病院の服を着ていた。
え、どういうこと、と驚くあたしを置いて潤さん達は立ち去ってしまう。
小野瀬さんは「上手く行くといいね」なんて微笑んでいた。
二人きりになった病室はやけに静かで、先程から真っ赤に染まった頬が熱い。
こちらへ一歩ずつ近寄ったテルくんは、あたしの前まで来ると突然跪いた。
「実衣、嘘ついててごめんな…」
「え、な、何の話?」
「……俺、肺ガンを患っていた」
「…う、そ」
信じがたい事実に涙腺が緩んでしまった。
あたしの知らないところでずっとテルくんは苦しんでいたというの…?
一気に熱が引いたあたしは今にも泣き出しそうな顔でテルくんを見ると、彼は思った以上に優しい瞳を向けていた。