170回、好きだと言ったら。
それから数日後、俺と実衣は墓場で手を合わせていた。
今度こそはちゃんと向き合うと言い出した実衣に俺も着いて行ってやると提案した。
勿論犬のように嬉しそうに頷きながら、見えないはずの尻尾を振った実衣にはキスをしておいた。
「…あたし、心のどこかではお墓参りに行かなくちゃって思ってた。
でもそうしたら本当に二人の《死》を実感してしまうだろうから…怖くて。
今は違うよ。テルくんが傍にいてくれたからあたし前に進めた」
ふわりと微笑む実衣は、どこか大人になった気がする。
ちょっと寂しい気分になって頭を撫でれば、実衣はそれを不思議そうに受け入れた。
「……俺の前では大人になんなくていいからな。実衣は実衣のままでいろ」
「え、ど、どういうこと!?
待ってテルくんっ!」