170回、好きだと言ったら。
実衣をバイクに乗せて連れた先は皆が集うバーだ。
そこに小鳥遊がいたため舌打ちをしながら、俺はカウンター前の席に腰を下ろした。
実衣の腕を引っ張って俺の膝上に乗せると、頭の天辺に顎を乗せる。
やっぱり落ち着く、実衣の体温が近くにあるのは。
そんな俺を呆れ顔で見た佐久間は、やれやれと言わんばかりに両手を挙げた。
「付き合ったらこんなんかいな、怖いなー最近の若者は」
「…うるせぇ、佐久間。てめぇにも実衣はあげねぇからな」
「俺やって未だに照道が実衣の結婚相手やなんて認めへんからな!
春威に代わって俺が親代わりや!」
「余計なお世話だ」