170回、好きだと言ったら。



朝ごはんを食べ終えると、またテルくんのバイクに乗せてもらいながら学校へ向かった。

どうやらテルくんは今日も早退するみたい。単位が大丈夫なのかと不安になった。


そんな事もお構いなしなテルくんは、靴を履き替えた後屋上へ行ってしまう。
…いつからだろう。テルくんが授業に出なくなったのは。
高校一年の初めはちゃんと出席していた。その年の夏も秋も、単位をしっかり取っていたし、冬だってそうだ。


「……気にしてたら、テルくんの機嫌損ねるよね」


あたしは後ろ髪を引かれるような思いで、教室を目指した。


「あ、おはよう…! 沖宮さん」

「! 小野瀬さん、おはよう!」


よかった、昨日彼女に話かけられたのは夢じゃなかったみたい…!
ほっと胸を撫で下ろしたあたしに、小野瀬さんは首を傾げた。


「沖宮さん寝癖ついてるよ? いつも朝走って来てるの??」

「ううんっ! そんなんじゃないけど、おかしいなあ。いつもは…あ、朝髪を結んでたからだ」

「そうなの? いつもは結んでないよね、沖宮さんって。ポニーテールとか似合いそうなのに」


全然似合わないよ、とあたしは苦笑しながら言うと、小野瀬さんは「そんな事ない」と少しだけ真顔で言った。

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