170回、好きだと言ったら。
まだ何か言いたいような小野瀬さんは、朝のHRが始まるチャイムを聞いて「放課後、カフェね」と残念そうな顔で言う。
…よかった、小野瀬さんには悪いけど、あんまり学校で喋ると目立っちゃうのだ。
このクラスにもテルくんのことが好きな女の子は、一人や二人いるだろう。高校に上がってまだ一度もあたしに手を出さないのは、あたし自身が誰とも関わらず過ごしてきたからだ。
それなのに中学生の頃みたいに騒いでたら、調子乗ってるとか思われて苛められるに違いない。
昔を思い出して、駄目だあたし!と両頬を叩いた。これ以上ぐるぐると考えるのは止めよう…!!
お兄ちゃんの愛読していた、杜禰リマさんの本を開くと、一つ一つの文字が胸に響く。