170回、好きだと言ったら。



運ばれてきたパンケーキを見て、まず一言目に「可愛い…!」と思わず言ってしまった。


鮮やかに彩られたフルーツ、その存在に負けないと言わんばかりのふわふわの座布団のように主張されたパンケーキ。


「い、頂きます…!」


何故か目の前に座った男性は一度置いて、とりあえず一口。


「美味しい! 甘さも丁度いいし、何よりパンケーキがふわふわ…!」

「ふん、舌はいいみたいだな。それよりお前さっきどの写真見てた?」

「…? あ、あの一番左端にある小さな額縁に入った写真です!」

「……何であの写真? 一番見えにくいだろ」

「お兄ちゃんが小さいモノ大好きでして。つい影響されちゃいました」


すると、微かに男性の眉が動いた。あたしはあまり気にせずパンケーキを平らげると、あの代金は…と訊ねようとしたところで、「なあ」と低い声があたしの耳に届いた。


「……お前の兄貴、6代目次期頭、沖宮春威って言うか…?」


その言葉にあたしは手に持っていたフォークを落としてしまった。

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