170回、好きだと言ったら。
呆れたような視線から逃げるように逸らすと、飛澤さんは「まあいい」と言葉を続けた。
「そういえばテルって誰だ? 彼氏か?」
「いやっ…テルくんは幼馴染で…」
「拗らせてんのか、面倒だな。学生って」
「ち、ちち違います!!!」
「っと…幼馴染が来たようだ。ご丁寧にバイクたぁ凄いな。宣戦布告しに来たようなもんだぞ」
「え、えっ?」
バン!と思い切り扉が開いたかと思えば、珍しく焦った様子のテルくんがいた。
どこから駆けつけて来てくれたのだろう。
そんな事を思っていると、こちらへずんずんとやってきたテルくんはあたしの手を握り締めた。
「おいおい、お前の大事な女の面倒見てやったんだからお礼ぐらい言えや」
「……そんなの願い下げだ。実衣、ほんとキライ。帰んぞ」
「テルくんっし、知り合いなのっ?」
「知らねえ」
珍しく怖い顔をするテルくんに、あたしは言葉を失ってしまった。
振り返れば、飛澤さんが「じゃあな」と手を振っている。ど、どういうことなのテルくん…!?