170回、好きだと言ったら。



げほげほっ!と咳き込む声が洗面所から聞こえて、不安に思ったあたしは「テルくんー?」と台所から呼ぶ。


酷く真っ青な顔をしたテルくんが戻って来たのを見て、慌ててあたしが駆け寄ると、珍しくテルくんがあたしに凭れかかった。


「……だ、大丈夫? 風邪?」

「別に…実衣なら知ってんだろ、俺が昔から身体弱ぇことくらい」

「じゃ、じゃあ病院行く…?」

「…いい、こっち。実衣」

「え、ひゃっ!」


ぐいっと腕を引っ張られたかと思えば、ソファへ座るように指示される。

戸惑いながら腰を下ろすと、あたしの隣にテルくんが座った。そのままあたしの膝上にテルくんが何の躊躇もなく頭を乗せると、ようやく落ち着いたように目を閉じる。


「え、え! て、ててテルくん!??」

「…10分でいい。じっとしとけ」


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