170回、好きだと言ったら。
ビニール袋からパンを二つ取り出したテルくんは、あたしの両手に乗せる。
あ、桃クリームメロンパンと、レーズンのパンだ…!
どちらもあたしの大好物で、思わず頬を緩ませると、テルくんが携帯を構えていた。
「テルくん! 急に撮るの禁止!!」
「別に減るもんじゃねぇだろ」
「減るの! 何かが!!」
「うるさい実衣、キライ」
出たテルくんのキライ攻撃!
あたしは文句を言いながらもパンを頬張る。
「飛澤は火鎖我(ヒサワ)族現5代目の頭だ。俺達にとっちゃ敵そのものだ」
「そ、そうだったの…?」
重々しく吐き出すように言ったテルくんは、あたしの肩に頭を預けた。
「…本当は敵なんて生ぬるぃもんじゃねえ。あいつ等が…、いや。何でもねぇ。兎に角あんま関わってもいいことねぇよ」
「う、うん。じゃあもう会わないし、行かない!」
「そうしろ」
ぽんぽん、とテルくんに頭を撫でられた。