170回、好きだと言ったら。



それから数週間後、これから起こる事件に俺は何も知らないまま、いつも通り隠れ家に向かうと、佐久間が慌てるように「大変や!」と俺に携帯を突き出した。


「…あ?」

「アンタの姫さん誘拐されたって! さっき飛澤から連絡あったんや…! アイツが何で俺の連絡知っとるんかは分からんけど…、兎に角今は後や!」

「おい、佐久間はここにいとけ」

「なっ!??」

「胸くそ悪いったらありゃしねえ…、俺一人でカタをつけてやる。てめぇらは動くんじゃねえ」

「照道! お前の身体っ、そんな無茶なことしたらあかん言われとるんやろ!??」

「知ったことかよ、ンなの今更だ」


佐久間の引き止める声を無視して、俺は指示された場所へとバイクを走らせた。


< 60 / 284 >

この作品をシェア

pagetop