170回、好きだと言ったら。
それから数週間後、これから起こる事件に俺は何も知らないまま、いつも通り隠れ家に向かうと、佐久間が慌てるように「大変や!」と俺に携帯を突き出した。
「…あ?」
「アンタの姫さん誘拐されたって! さっき飛澤から連絡あったんや…! アイツが何で俺の連絡知っとるんかは分からんけど…、兎に角今は後や!」
「おい、佐久間はここにいとけ」
「なっ!??」
「胸くそ悪いったらありゃしねえ…、俺一人でカタをつけてやる。てめぇらは動くんじゃねえ」
「照道! お前の身体っ、そんな無茶なことしたらあかん言われとるんやろ!??」
「知ったことかよ、ンなの今更だ」
佐久間の引き止める声を無視して、俺は指示された場所へとバイクを走らせた。