170回、好きだと言ったら。
○テルくん凄い人と出会っていました
《Side:実衣》
テルくんが学校に来なくなって三日目。
朝、あたしが迎えに行く前に連絡が来て「来るな」の一言だった。
こんなにもテルくんに会えないのは久しぶりだ。
会いたい、なあ…。
サプライズ的な感じで会いに行こうかな。
先生は欠席としか言わなかったけど、テルくんはお風呂上りとか髪を乾かさないから、きっと風邪を引いたんだ。
「風邪にいいのはフルーツだよね…。あ、でも喉が痛いならお粥とかでも…」
「沖宮さん、どうしたの? 誰かのお見舞い?」
「あ! 小野瀬さん」
移動教室の合間に、あたしはぶつぶつと一人で考えていると、小野瀬さんが話しかけてくれた。
あたしが「幼馴染が学校来なくて」と言えば誰のことか分からない小野瀬さんは、少しだけ不思議そうな顔をする。
「幼馴染いたの? 沖宮さんって」
「そうそう…! えっとね……」
そこまで言いかけて、クラスメイトの嫌な視線を感じた。