170回、好きだと言ったら。


「…最近沖宮さんってよく喋るよね」

「この前まであの清水くんと一緒にいたし…」

「清水くんのこと、幼馴染だからか呼び方変えてたよね」


ぼそぼそ聞こえた言葉に、あたしは何も言えなかった。
背後に感じる、じっとりとした視線。

どくん、どくんと鼓動が速くなる。駄目だ、考えないようにしないと…!


「“大切な存在が何かに怯えていたら、どんな状況に置いても手を差し伸べよう。
例え全てを話せなくても、決して途切れない絆を見つけよう”
杜禰リマ先生がこの言葉言っていたの。
わたし、沖宮さんが一人闘ってるのをいつも知っていたのに、初め声をかけられなくて。

でも、今なら堂々と話せるよ」

「小野瀬さん……」

「わたしたち、ちゃんと絆が繋がっているもん」

「……ありがとう」


今は上手く説明できないけど、きっと彼女なら理解してくれる。そう思えたんだ。


< 66 / 284 >

この作品をシェア

pagetop