170回、好きだと言ったら。
戸惑っていると、遠くの方からバイクのエンジン音が聞こえて、思わず部屋の中へ入ってしまった。
ここまで来たら引き返すことも出来ず、すぐに帰ろうと思いながらも上がらせてもらう。
玄関を進んですぐのところに一つ部屋があるくらいで、後はトイレやお風呂、そして台所しかないシンプルなアパートだ。
「わあ! 杜禰リマさんの本が沢山…!!」
本棚にぎっしりと並んだそれに、歓声を上げた。
お兄ちゃんの部屋と同じで、杜禰リマさんの本が全部揃っているなんて。しかも全部単行本だ…!
「ああ、僕がその杜禰リマの作者だからですよ。編集の方に一冊は持っているように言われたので」
「そうなんですか! へー……、え!?? 今なんて…?!」
「編集の方に一冊は…」
「その前です!」
「ああ、僕がその杜禰リマの作者…」
「えええええ!!!!」