170回、好きだと言ったら。



…そうだ!
杜禰リマさんを一番好きでいた小野瀬さんにも是非紹介したいな…。


「あの…、あたしの友人で貴方のファンがいて…。是非会わせてあげたいなって思うのは我儘でしょうか…?」


小鳥遊さんはいつもの困り顔であたしを見ると「それは出来ない」と断られた。

そ、そりゃあそうだよね…!
すみませんでした!と勢いよく頭を下げると小鳥遊さんの手のひらがあたしの頭にそっと触れた。


「ファンの中で僕のイメージがあるでしょうし、それに杜禰リマは僕だけじゃない。
折角会うなら二人揃っての方が本人も喜ぶだろうと思いまして、すみません」


あたしは「気にしなくて大丈夫です」と言えば、小鳥遊さんは少しだけ表情を和らげた。


その時、急にあたしの携帯から着信音が鳴り響く。
驚いて小鳥遊さんから離れると、一瞬だけ名残惜しそうな顔をされたのは気のせいかな。


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