170回、好きだと言ったら。
とりあえず電話に出ると、相手はやっぱりテルくんだった。
《……実衣? 今どこにいる?》
「えっ! ええと…、《はちみつば》スーパー?の近くなのかな…。ほら、昔からよく行くところ」
《…今、飛澤ンとこの副総長が逃亡してる。見かけたら逃げろよ。そいつ、バカみてぇに強いから》
「分かったっ! けどっ…特長とかないの……?」
《…黒のメガネかけてる。後、結構クセのある髪で茶髪だ。じゃあスーパーに行け。迎えに行く》
ぶつん、と一方的に切られて、あたしはゆっくりと振り返った。
「……黒の、メガネ…クセのある茶髪…」
「? どうしたんですか?」
「い、いいいえ! あたしの迎えが近くまで来てくれるみたいなので、今日は失礼します!」
「あっ、待って下さい。せめて名前だけでも教えてくれませんか?」