170回、好きだと言ったら。
浮かない顔をしていたのがバレたのか、小野瀬さんがあたしに声を潜めて訊ねた。
「も、もしかして沖宮さんって…片思いの人とかいるの?」
「っへ!??」
思わず大声を出してしまい、慌てて口を両手で塞いだ。
と、突然すぎて心臓に悪いよ…!
「前に言ってた幼馴染って男の子でしょう?
だからその子かなあって」
「あー……まあそうなんだけど…、周りにはバレたくないんだ。内緒にして欲しいな」
「それは勿論するけど、どうして?」
やっぱりその質問されるとは分かっていた。
だけど、簡単に「苛められていました」なんて言えるはずがない。
口ごもるあたしに、小野瀬さんは小さく笑みを浮かべた。
「いいんだよ?無理して言わなくても。
…あのね、わたし今まで引っ込み思案な性格だったから、いつも一人ぼっちだったんだ。
だから沖宮さんが言えるタイミングでいいよ…!」