170回、好きだと言ったら。
そろそろ食べ終わりそうなテルくんを見て、あたしはお茶だけ注ぎ足すと、学校の指定鞄からお弁当箱を一つ取り出す。
それをテルくんの鞄に入れておくと、洗い物だけ済ませようかな、と時計を確認した。
「……実衣、洗い物は帰ってから俺がやる。
靴履けよ」
伸びてきた手のひらが、あたしの頭を二度撫でた。
あれ、何でテルくんに撫でられたのかな。テルくんは気分屋さんだから、いつもの「何でもない」という理由なんだろうけども。
「テルくん、髪ぼさぼさだよ! ほら、くしで簡単に梳かすから」
靴を履く前にテルくんの髪を梳かそうと思えば、やんわりと断られてしまった。
結局あたし一人、玄関でぼんやりと待っていると、テルくんはぼさぼさの髪のまま、歯を磨いて戻ってきた。