170回、好きだと言ったら。
まさか小野瀬さんが声を上げて笑うなんて予想外だけれども。
小野瀬さんにこんな表情があったのかと思ったら、何だか友達って素敵だなあと思う。
「…あたし、もっと早く小野瀬さんに出会いたかった」
思わず零れた本音に、小野瀬さんは目を丸くさせた。
何度か瞬きを繰り返した彼女は、ふんわりと柔らかく微笑む。
「まだこれから先があるよ、沖宮さん。
わたし話していないことが沢山ありすぎて、全部言えるか不安になっちゃう」
「そんなにあるの…!? え、あたしも沢山お話用意しとかないと…!」
「やっぱり面白いね、沖宮さん」
それで、と一度間を置いた小野瀬さんは持っていた箸を下ろした。
「…その買い物って、幼馴染の子に料理を振舞うため?」
「……恥ずかしいけどそうなんだ。幼馴染にいつも作ってるよ。
最近は学校に来ないし、あたしが家に来ないようにメールで一言《今来るな》とか送ってきたりしてさ…」
テルくんは本音とか全く言わない人だから。
いつも何考えてるか分からないし、小さい頃から病院に通うことが多くて、入院だって何度もしていた。
だからあたしは本当に心配で胸が苦しいのに頼ってもらえないのだ。
「あたし、ずっとその幼馴染を見てきたはずなのに…遠くに行ってしまいそうで凄く怖いんだ…」