170回、好きだと言ったら。



隣でまた寝始めたテルくんを見て、掴んでいた布団へ視線を落とした。


見覚えのない、青色の薄めの布団。
あたしの布団は薄紅色だったはずだ。

しかも枕は…テルくんの腕だった。部屋を見渡しても何一つ知らないものばかり。


強いて言うならば、壁に飾られた額縁の中に入っている写真はあたしも持っている。


あたしとテルくん、そしてお兄ちゃんのスリーショット。
お兄ちゃんは王子様みたいな笑みを浮かべていてカッコイイし、テルくんはそっぽを向いてカメラを見ていないけど、やっぱりカッコイイ。

そんな二人の間に歯を見せて笑うのがあたしだ。


全く女の子らしくない笑みに、何だか恥ずかしくなってしまった。


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