170回、好きだと言ったら。



意識が遠くに行ってしまったのか、あたしの声が届いていないようだ。


不安になってもう一度。テルくんと呼べば、テルくんの瞳がこちらへ向いた。


「……実衣、飯」

「やっぱり聞こえてなかったんだ…。じゃあご飯だけ作ったらあたし…」

「その後はちょっと付き合え。…紹介してぇやつがいる」

「……? いいけど、お線香だけあげたいから待ってね」


朝食を作るためにエプロンを棚から取り出した。
すると、テルくんが立ち上がって、あたしにエプロンを着せて紐を縛り、手に持っていた髪ゴムで耳下辺りにお団子結びにする。


「あ、凄い手際がいいね。ありがとう、テルくん」

「……実衣、飯」

「うん! すぐ作るね」


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