隣のキミ。
隣の想い人とその隣の恋敵。
- 梨子side -
私は、小学2年生の頃から現在の高校2年生まで…
9年間ずっと想いを寄せている人がいる。
そして、今年でついに10年目だ。
その彼は今、私の左隣の席。
名前は倉本真緒くん。
真緒くんを好きになったきっかけは小学校2年生の時のこと。
日曜日に買い物へ行き、その際に貰った風船をとても気に入っていた。
大事に握っていたけど、帰り際にふと手を離してしまい、その風船は木に引っ掛かってしまった。
何度も何度もジャンプをして取ろうとしたけど、届かない。
お母さんも取ろうとしたけど、届かない距離で、到底私には届かないに決まっていた。
「梨子、諦めましょう。また今度貰えばいいでしょ?」
「やだ。あの風船じゃなきゃやだ…」
「梨子…」
私は「やだ」の一点張りで、その場から動こうとしなかった。