隣のキミ。


こんなことを言われて素直に「七海」に戻すわけがない。

今度からずっと「梨子」と呼ぶに決まっている。


「梨子」

「っ……」


そっと顔をタオルの隙間から覗かせ、訴えるような目で俺を見る。

呼ぶな、と言ったのに俺が呼んでいるからだろう。

そんな顔して見られるともっとからかいたくなるんだが。


「今度からずっと梨子って呼ぶから」

「…め…すっ!」


首を横に振りながら、何か言った。

多分、「駄目です」と。


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