隣のキミ。
授業が始まり、ふと右隣を見ると、鞄を漁っている七海。
教科書とノートはしっかりと出しているが…
もしかして筆箱を忘れたのか?
「七海」
そう名前を呼ぶと、びっくりしたのか少し肩を上げ、此方を見てきた。
シャーペンを取り出し、差し出したが…
七海は受け取らず、固まっている。
あ…そうか。俺が貸すより、輝がいいよな。
俺は手を引っ込め、輝の方を向いた。
「輝。シャーペンを七海に貸してやって」
「え?いいけど、まーくんが貸してあげればいいんじゃ?」
「バカだな。お前のがいいんだって」
「はぁ…?」
輝は首を傾げたまま、俺にシャーペンを渡す。
俺はそれをそのまま七海へと差し出した。
すると七海はすぐにシャーペンを受け取り、凄い勢いでノートに何かを書き出した。
やっぱり輝のはすぐに受け取ったか。