隣のキミ。


…何時間経っただろう。

ずっと見えるのは天井。

聞こえてくるのはお姉ちゃんの泣き声。

いや、この場合、鳴き声の方が正しいかな。


「梨子ちゃんがっ…梨子ちゃんが……どうしてえええ…!!」

「紗菜、もう泣かないの。ていうか仕事に行ってきなさいな」

「あんな梨子ちゃんを見たのにっ…仕事になんて行けるわけないよっ!!休む!!」


早く仕事に行ってください。お願いします。

と言いたいところだけど、絶対悪化するからやめておこう。

これ以上、うるさくなったら困る。


「梨子、どうしてあんなことしようとしたのよ?お姉ちゃん泣いてるわよ?」

「…だって……学校行きたかった…」

「学校?熱がこんなにあるのに?どうして?」

「…………」


そんなの真緒くんに会いたいからに決まってる。



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