隣のキミ。
七海は呆然と立ち尽くす。
瞳から溢れ出た雫は頬を伝い、床へと落ちる。
その雫のスピードはどんどん増していった。
「……います」
「な、七海…?」
封筒を片手で握りしめる。
皺ひとつなく綺麗だった封筒は一瞬でグシャッと歪んだ。
「……くんなんかっ…真緒くんなんか大っ嫌いです!!」
七海はそのまま走り去ってしまった。
もっと早く自分の気持ちに気付いていれば…
七海が輝のことを好きだと分かる前だったら…
違った答えが出せたかもしれない。
初めて好きになった子を泣かせずに、嫌われもせずに、もっと良い選択が。
もう気づくには遅すぎた。