キャンディ☆
「圭さん・・・・

 そんな顔しないで・・・

 笑ってて。いつもみたいに

 笑った顔見せて」


私は無意識にそう言ってた。

だってほんとに、彼の笑顔を見たかったから。


彼の笑顔があれば、私がんばれるから。


「林檎ちゃん・・・・」

そう言って私の頬を触った。


そこで初めて自分が泣いてることに

気付いた。


「あれ?・・なんでだろう??」

自分でもなにが悲しいのかわからない。


「圭さん・・・自分を責めたり

 しないでください。」

泣いてるせいで声が震えたけど

今の私の気持ちを伝えた。


「ありがとう・・・ごめんね」

彼はそう言って、微笑んでくれた。


「君はすごい子だね。

 俺なんかよりもずっと大人だね」


「そんなことないです。圭さんは

 私から見れば、ずっとずっと大人で」


「ずっとずっと大人のオヤジ?」

そう言って笑った。

キュン・・・


「オヤジだなんて・・・ところで、

 圭さんっていくつなんですか?」


「あははははは」

彼の笑い声が静かな店内に響いた。

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