キャンディ☆
親父は美容師としての才能もあったが

会社経営の才能のほうがあったようだ。


全店舗の美容師の数は正確には

わからないが100人は超えてるだろう。


今の美容師学校の生徒に聞けば

きっとうちに就職したいって子が

ほとんどだろう。


でも、俺はもぅこの仕事に嫌気がさしていた。

はさみを握れない美容師なんて

美容師ではない。

そう思うんだ。


毎日の通勤で通るなれた道。


そこで、今日俺は女子高生を

跳ねてしまった。


幸いお互い大した怪我ではなかったが

これが親父に知れれば、大変な

ことになるだろう。


きっと俺の体の心配よりも

店の名前に傷がつくことを恐れるだろう。


彼女は、大丈夫だと笑ったが

俺の方は事故の恐怖で震えが止まらなかった。


人を跳ねるってことがこんなことだと

初めて知った。

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