キャンディ☆
俺と目が合った彼女は目を大きく開いて
涙をポロポロ流しながら
駆け寄ってきた。

情けないことに、俺は泣きそうだった。
名前を呼ぶことしかできなかった。

実際には5歩ぐらいだろう。

だけど、俺にはスローモーションに
見えたんだ。

俺の方から、走りたいぐらい。


リクライニングで少し
起こしてもらっていた俺に
彼女は躊躇することなく
抱きついてきた。

彼女にただいまって言った。

今、それが1番しっくりくる言葉だから。


やっと俺は帰ってきたんだ。


林檎ちゃんはおかえりって言って
くれた。

17歳の彼女とは違う大人になった
彼女はとてもきれいだった。
女の子だった彼女は女の人になっていた。

3年も本当に経ったんだ。

彼女の髪をなでながらそう思った。


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