キャンディ☆
「さぁ、どうぞ」

と車の助手席の扉を開けてくれた。

『大人だなぁ・・・・』


ドキドキする胸とは裏腹に

また、私達は住む世界が違うと

感じてしまった。


車の中は、洋楽が流れていた。


とっても高そうな車はお父さんの

車とは比べ物にならないくらい

振動が少なく、エンジンの音も

聞こえなかった。

「一生の中でこの車に乗れるのは

 きっと今日だけだろうなぁ・・・」

思わず、ふっと考えたことを

口にしていた。

彼は運転しながら

「ん?」

って少しだけ私の方に目をむけて

前を向いたまま笑った。


「なんで?これから色んな車に

 乗せてもらうようになるよ。


 まぁ、良い車に乗ることだけが

 すべてではないよ」

そして、私の頭にポンっと手を

乗せた。



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