キャンディ☆
自分の意思とは別のところで

恐怖が今ごろやってきて

足がガクガクと、まるで自分の

足ではないように震え出して

うまく歩けなかった。


とうとう、しゃがみこんでしまった

私は、どうしたらいいのかわからなくて

ただその場で、動けなくなった。


そこで目に飛び込んできたのは

バイクに乗ってた人だった。


その人はゆっくりと起き上がって

私の前まで来た。


「大丈夫ですか?」

とその人。


「は・・はい」

そう答えるのがやっとだった。

「とりあえず、病院までいきましょう」

とその人はそっと私の手を

とった。

その人に支えられながら

ゆっくりと私は立ち上がった。


私はでも、そんなことよりも

その人にドキドキしてたんだった。


だってその人は、とっても

かっこよかったから。


細身で背が高くて、大きくて切れ長な目、

高い鼻に、薄い唇。

低い声に話しかけられるたびに

ドキドキが止まらなくなっていた。




< 6 / 284 >

この作品をシェア

pagetop