キャンディ☆
仕事に取り組む男の人って

どうしてあんなにかっこいいのかな?

なんて、すっかり私は恋する乙女に

なってた。


髪を触られることは女の子に

とってとても特別なこと。


でも、残念ながら今、私の髪を

触ってるのは彼だけど、美容師の彼。


お仕事なのはわかってる。


『今日のあなたも大好きです』

そんなことを鏡越しの彼に

テレパシーを送ってみた。


もちろん通じるわけもなく・・・


「もうすぐ終わるからね」

彼が鏡越しに私に言った。


「はい」


彼が切ってくれた私の髪は

なんだか自分じゃないような感じがした。


いつもは下ろしている前髪を

全開にされて恥ずかしかったけど

彼はそのオデコを見て


「きれいなおでこだね。

 普段も出したほうがいいよ」

と優しく微笑んでくれた。


褒められたのは私のおでこ。

私の中の小さな1部分。


それでもうれしかった。



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