そのくちづけ、その運命
眉毛はすっと長く、切れ長の大きな目。右目の下にほくろがある。
耳には若者らしく銀のピアスがつけられていた。
髪は遠めに見た時に思ったほどがっちりとワックスで固められてはいなかった。
むしろナチュラルな黒髪だ。窓から入り込む少しの風にふわっと浮き上がる。
長めの前髪の隙間からのぞく色素の薄い、透明度の高い茶色い瞳が私をとらえる。
ドキリとしてはっと我に返る。
あれ、今……
「あ、あの。今私の名前……」
「あぁ、うん。雄二に聞いた。井上実琴ちゃんでしょ」
ますますわけが分からなくなる。
「オレ、峰倉真人っていうんだ。真実の真に人で。よろしくね」
そう言って彼は目を細めてニコリと微笑んだ。
その優しい笑顔に心臓がわしづかみにされたような気分になる。
「えっと、よろしくお願いします」
どぎまぎしながらも、なるべく冷静にそう答えると、
「みこっちゃんって呼んでいい?」
「は!?」
「ふふ、いきなり馴れ馴れしい?
実琴だからみこっちゃん!かわいいでしょ」
あ、この人近年まれに見る人型絶滅天然危惧種だ。
なかなか出会えないタイプの。
初めて会ったかも、こんな無邪気な大人。
「……嫌?」
「いえ、大丈夫です」
なんだろう、さっきまで緊張で心臓が飛び出しそうだったのに、実際に彼を目の前にして、彼の人となりにふれて、
私はいつもの自然体で彼との会話を楽しむ余裕が生まれた。
もちろん、まだずっとドキドキしてはいるんだけど。
トクン、トクン、トクン、トクンって。
「よかった!じゃあオレのことも名前で呼んで。
あ、あと敬語禁止ね」
耳には若者らしく銀のピアスがつけられていた。
髪は遠めに見た時に思ったほどがっちりとワックスで固められてはいなかった。
むしろナチュラルな黒髪だ。窓から入り込む少しの風にふわっと浮き上がる。
長めの前髪の隙間からのぞく色素の薄い、透明度の高い茶色い瞳が私をとらえる。
ドキリとしてはっと我に返る。
あれ、今……
「あ、あの。今私の名前……」
「あぁ、うん。雄二に聞いた。井上実琴ちゃんでしょ」
ますますわけが分からなくなる。
「オレ、峰倉真人っていうんだ。真実の真に人で。よろしくね」
そう言って彼は目を細めてニコリと微笑んだ。
その優しい笑顔に心臓がわしづかみにされたような気分になる。
「えっと、よろしくお願いします」
どぎまぎしながらも、なるべく冷静にそう答えると、
「みこっちゃんって呼んでいい?」
「は!?」
「ふふ、いきなり馴れ馴れしい?
実琴だからみこっちゃん!かわいいでしょ」
あ、この人近年まれに見る人型絶滅天然危惧種だ。
なかなか出会えないタイプの。
初めて会ったかも、こんな無邪気な大人。
「……嫌?」
「いえ、大丈夫です」
なんだろう、さっきまで緊張で心臓が飛び出しそうだったのに、実際に彼を目の前にして、彼の人となりにふれて、
私はいつもの自然体で彼との会話を楽しむ余裕が生まれた。
もちろん、まだずっとドキドキしてはいるんだけど。
トクン、トクン、トクン、トクンって。
「よかった!じゃあオレのことも名前で呼んで。
あ、あと敬語禁止ね」