そのくちづけ、その運命
彼の想い
週が明けて、今日は月曜日。

土曜日はあれから、大雨のなか約30分間歩いてアパートまでたどり着いた。

雨で視界は悪いし、見慣れない道で途中迷子になりかけるし、水たまりの上を猛スピードで走っていった車には案の定思いっきり水をかけられるしで、散々だった。


後先考えない、思い付きで行動に移してしまう私はやっぱりバカだと思った。

着くころには、もうへとへとで、

部屋に駆け込むやいなや、びしょ濡れの服を脱ぎ捨て、洗濯機に放り込み、冷えた体を温めたくて、普段はめったに沸かさないが湯銭を張った。


そのおかげもあって、風邪はひかずに済んだ。
まぁ、私は大抵のことじゃ風邪ひかないんだけど。

「体が強いのって、やっぱり長所だよね」



しかし、朦朧とする意識で雨のなか歩き続けたのは、今日起こったことを一から順に整理するにはとてもいい時間だった。

ビニール傘に水滴が当たるポツ、ポツ、ポツという音が、私の心を静かに落ち着けてくれた。


いつも通りバイトに行って、それでいつも通りに6時間勤務の末へとへとになりながら帰路に就く予定だった。

…だけど。
それで今日という1日は終わるはずだったのだけれど。

峰倉真人との出会い、
彼の持つ不思議な空気感と、彼自身の魅力にやられてしまった私。


心臓が口から飛び出そうなほど緊張した彼のとなり。

いきなり唇にキスされた。あの、バス停で。

そのあとに―――…
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