そのくちづけ、その運命
「はぁ…」

自然とこぼれるため息。

どうしよう。


彼が私にキスをして熱烈な告白をしてくれた理由については、どんなに考えても出てこなかった。

私は一目見たときから彼に惹かれていた。
…それを自覚したのはそれよりも後になってだけど。

でも真人くんが私を好きになる理由なんて。



昨日はせっかくの日曜日だったが、ほとんどベッドの上で過ごした。

大学の課題にも手が付かず、本を読む気にもなれず。
ずっとベッドに寝転がって、天井を眺めていた。


でも、真人のことを思い出すたびに、毎回心臓の鼓動は速くなった。


会いたいなぁ。

彼のあの柔らかい笑みを思い出す。

また、一緒に…

「あ」

私真人くんの連絡先知らない…

本当にバカ…!





今まで、恋愛とは関係のない世界で生きてきた。

色恋沙汰で一喜一憂している友人たちを見て、慰めながらも少し見下していた自分がいた。


……だけど。

だけど。

私は、今はっきりと恋をしている。

彼に会いたいと素直に思ってしまっている。


もうその感情を自分の中に認めた時点で、

認めることができた時点で、

もう過去の自分に終止符が打てたということになるのかな。
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