そのくちづけ、その運命
「え…?」
その一言に、私は今度こそ心臓が飛び出るのではないかと思った。

それぐらいの衝撃だった。
トクトクトクトク、と心臓が静かに波打つ。

彼に悟られてはいけない。

高校時代の私を救ってくれた、私の大好きなこの絵は、
今目の前にいる私の好きな人が描いたものだっていうの…??


「とりあえず座ってよ」

私はぼうっとする頭で、促されるままに、ソファーの上にすとんと腰を下ろした。

えっと、理解が全く追いつかない…

私は、私は…

この人は、私の…


いつの間にかと隣に座っていた真人が人知れず私の手を取っていた。
そしてそっと何かを確認するように、もしくは何かを求めるように、私の指を彼の指がなぞっていく。
真人くんは綺麗だ。指も白くて長くて…私よりずっと…。
抵抗もせず、私はただじっと真人がしていることを無意識に見つめてしまっていた。

そこではっと我に返る。

「何してんの!?」

やっとそう口にする。

「あ…ごめん」



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